Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

機能性ディスペプシアに対する六君子湯の効果:系統的レビューとメタ解析

DOI: 10.1111/jgh.15208

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

【背景と目的】機能性ディスペプシア(FD)は、上腹部の慢性的で原因不明の消化不良を特徴としている。従来の治療法では効果が不十分であるため、補完代替医療の需要が高まっている。六君子湯は、アジアでFDに広く使用されている漢方薬である。しかし、エビデンスが不足している。FDの治療における六君子湯の効果と安全性を評価するために系統的レビューとメタ解析を実施した。

【方法】2019年4月に、PUBMED、EMBASE、CochraneLibraryなどの電子データベースを検索した。研究がすべて適格であるには、六君子湯または併用療法(六君子湯および西洋医学)群を西洋医学群と比較する無作為化比較試験(RCT)でなければならない。主要評価項目は、総臨床効果率(TCE)とした。副次評価項目は、総消化不良症状スケール、胃内容排出率、ガストリン、モチリン、治療後6か月の再発、およびハミルトンうつ病評価尺度とした。

【結果】5,475例を対象とした52件のRCTが、この系統的レビューとメタ解析に組み込まれた。西洋医学と比較して、六君子湯はTCEが高く、有意に優れた結果を示した(相対リスク= 1.21、95%信頼区間1.17〜1.25、P<0.001)。六君子湯は、西洋医学と比較して、総消化不良症状スケールの減少がより多く、胃内容排出率がより改善され、治療後6か月の再発はより低かった。しかし、六君子湯群と西洋医学群の間でハミルトンうつ病評価尺度に有意差はなかった。併用療法は、西洋医学単独と比較して、TCEで有意な症状の改善をもたらした。

【結論】六君子湯とその併用療法は、FDの効果的な代替治療と見なされる可能性がある。さらに厳密に設計された高品質のRCTが必要である。

Impact Factor: 3.437