Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

外科的ストレスによって誘発される免疫抑制に対する補中益気湯の予防効果

doi.org

【目的】補中益気湯の術前投与が、消化器系悪性腫瘍患者の外科的ストレスによって誘発される免疫抑制に及ぼす影響を調べること。

【方法】補中益気湯の術前7日間投与あり(n=20)またはなし(n=27)の患者で、免疫機能をモニタリングするために、手術前後のミトコンドリア膜電位(MMP)とナチュラルキラー(NK)細胞の活動を末梢血リンパ球(PBL)で測定した。血漿カテコールアミンとインターロイキン(IL)-6レベルも手術の前後に分析された。

【結果】補中益気湯投与群のMMP-high CD56陽性細胞(NK細胞)とNK細胞活性の数は、対照群のそれよりも有意に高かった(それぞれ P=0.026 および P=0.037)。手術後の血漿ノルアドレナリンとIL-6の上昇は、術前の補中益気湯投与によって抑制された(それぞれ P=0.023 および P=0.039)。in vitroの、シアン化カルボニルm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)で処理したPBLでのMMP-high CD56陽性細胞数とNK細胞活性間の正の相関は、CD56陽性細胞でのMMP測定がNK 細胞活性を評価するための便利な代替手段として機能できることを示唆した。

【結論】我々の調査結果は、補中益気湯の術前投与がNK細胞活性を維持し、ストレスメディエーターの上昇を抑制することにより、外科的ストレス誘発性免疫抑制を防ぐことを示唆している。

Impact Factor: 2.077 PMID: 18368320