Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

慢性硬膜下血腫の再発予防に対する五苓散の効果:多施設無作為化比較試験

DOI: 10.1089/neu.2017.5407

www.ncbi.nlm.nih.gov

慢性硬膜下血腫(CSDH)の比較的高い術後再発率は、重大な問題である。五苓散はアクアポリンの発現抑制をかいした駆水作用を有する漢方薬であり、いくつかの症例で術後CSDH再発の予防に有効であると報告されている。本多施設前向き無作為化比較試験では、術後のCSDH再発に対する五苓散の予防効果を検討した。60歳以上の症候性CSDHで穿頭孔手術を施行する患者を本研究に登録した。患者は無作為に五苓散の経口投与群(1日7.5g)または対照群に分け、五苓散投与群には12週間五苓散を投与した。主要評価項目は12週間後の術後再発率であり、副次評価項目は12週間後のCTスキャンによる血腫体積減少率とした。分析は60歳以上の全ての年齢の患者の他に、75歳以上または75歳未満の患者に分けて実施した。患者180例を対象に分析した(対照群 n=88、五苓散群 n=92)。全年齢の患者と75歳未満の患者における再発率を検討した結果、五苓散群の再発率は比較的低かったものの有意差が見られなかった。血腫量減少率は有意差を示さなかった。本研究の結果に基づき、今後五苓散の有効性を確認するにはより多くの症例を含む大規模な研究が求められる。

Impact Factor: 3.754