Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

健常日本人ボランティアを対象とした、グレリン増強剤である六君子湯の活性成分とその代謝物の薬物動態:交差無作為化試験

dx.doi.org

【背景】六君子湯は、機能性ディスペプシアや逆流性食道炎などの上部消化管障害の治療に用いられてきた。本試験は、健常人ボランティアを対象とし、六君子湯の活性成分の薬物動態を明らかにするために実施した。

【方法と結果】最初に、健常日本人ボランティアを対象とし、探索的非無作為化1期間非交差試験を実施し、血漿中および尿中における六君子湯の代表的32成分を測定した。その結果、六君子湯(7.5g/日)経口投与後、32成分のうち血漿中18成分、尿中21成分が検出された。
更に、21名の被験者を対象に、無作為化オープンラベル3群間3期間交差試験を実施し、各期間に六君子湯をそれぞれ異なる用量(2.5g/日、5.0g/日、7.5g/日)で経口投与した後、 9つの成分(atractylodin、atractylodin carboxylic acid、pachymic acid、3,3',4',5,6,7,8-heptamethoxyflavone、naringenin、nobiletin、 liquiritigenin、isoliquiritigenin、18β-glycyrrhetinic acid)を定量し、薬物動態指標を算出した。

血漿中における9つの成分の薬物動態が明らかになった。7.5g服用時の各成分のCmax幾何学平均(95%信頼区間)は、1,570 (1,210 - 2,040)、14,300 (12,200 - 16,800)、91.0(71.8 - 115)、105 (75.6 - 144)、1,150(802 - 1,650)、35.9(24.6 - 52.5)、800(672 - 952)、42.8(30.4 - 60.3)、55,600(39,600 - 78,100)pg/mLであり、AUC 0-last幾何学平均(95%信頼区間)は、1,760(1,290-2,390)、12700(11,100-14,600)、1210(882 - 1650)、225(157 - 322)、4,630(2,930 - 7,320)、35.7(20.4 - 62.7)、4,040(3,260 - 5,010)、122(88.2 - 168)、及び 832,000(628,000 - 1,100,000)pg•h/mLであった。

【結論】我々は、ヒトにおいて吸収される六君子湯の成分を同定し、さらに9つの成分の薬物動態を明らかにした。本研究結果は、六君子湯の薬理作用を解明するために有用と思われる。

Impact Factor: 2.766 PMID: 26186592 PMCID: PMC4506051

臨床試験登録番号:JapicCTI-142522