Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

日本人健常人ボランティアへの抑肝散単回投与後の活性成分の薬物動態:交差無作為化試験

dx.doi.org

【背景】抑肝散は、日本の伝統的な生薬製剤で漢方薬と呼ばれる。抑肝散エキスには、蒼朮、茯苓、川芎、釣藤鈎、当帰、柴胡、甘草の7種の生薬で構成される。抑肝散は、神経症不眠症に加え、認知症の行動・心理症状にも用いられている。

【目的】健常人ボランティアを対象とし、抑肝散の活性成分の血中への発現と薬物動態を検証する。

【試験デザイン】2012年5月~2012年11月、高知医科大学において日本人健常人ボランティア21名を対象に、無作為化非盲検3群3期間交差試験で実施。

【介入】試験期間で、抑肝散(2.5g、5.0g、7.5g)を単回経口投与。

【主要評価項目】抑肝散の3つの活性成分、即ち18β-グリチルレチン酸(GA)、ガイソシジンメチルエーテルGM)、ヒルステイン(THE)の血漿濃度。

【結果】GMとTHEの平均最大血漿濃度(Cmax)は用量依存的に増加した(範囲:各々、0.650-1.98 ng/mL、 0.138-0.450 ng/mL)。投与後最大血漿濃度に上昇するまでの時間(Tmax)は、GMは0.500時間 、THEは 0.975-1.00時間であった。半減期(T1/2)は、GMが1.72-1.95時間、THEが2.47-3.03時間で、GM及びTHEは速やかに吸収・排泄されることが示された。一方、GAのCmax、Tmax、T1/2はそれぞれ57.7-108 ng/mL、8.00-8.01時間、9.39-12.3時間であった。

【結論】抑肝散の薬理学的に活性を持つとされる成分がヒト血中においても検出された。さらに、GM、THE、GAの薬物動態も測定できた。これらのことは、抑肝散の薬理作用の研究に有益であると考えられる。

Impact Factor: 2.766 PMID: 26151135 PMCID: PMC4495062

臨床試験登録番号: JapicCTI-121811