Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

牛車腎気丸は、FOLFOXレジメンで治療された患者の神経障害を予防する

 

DOI: 10.1007/s10147-010-0183-1

link.springer.com

【背景】オキサリプラチンは現在、進行性または切除不能な結腸直腸癌の標準治療と考えられているが、その主な用量制限毒性は感覚神経障害である。 OPTIMOX(ストップアンドゴー)アプローチは合理的な戦略を提供するが、予防薬は確立されていない。漢方薬である牛車腎気丸は、最近、タキサンの神経障害および糖尿病性神経障害患者の振動感覚の有効な薬剤と考えられていることが報告されている。この研究の目的は、オキサリプラチン療法に伴う末梢神経障害に対する牛車腎気丸の有効性を明らかにすることである。

【患者と方法】2007年から、切除不能または再発の結腸直腸癌のために改変FOLFOX6で治療された45例が研究に参加した。 22例(牛車腎気丸群)は、mFOLFOX6療法中に7.5 g /日の牛車腎気丸が経口投与され、23例(対照群)は牛車腎気丸非投与であった。神経障害は、DEB-NTC(Debiopharmの神経毒性基準)に従ってすべてのコースで評価された。

【結果】牛車腎気丸群の患者あたりのサイクル数の中央値は13(範囲4-32)で、対照群では12(範囲4-28)だった。オキサリプラチンの累積投与量は1,105mg/㎡(牛車腎気丸群)および1,120mg/㎡(対照群)だった。牛車腎気丸群のグレード3末梢神経障害の発生率は、対照群よりも有意に低かった(p<0.01、log-rank test)。 10コース後のグレード3末梢神経障害の発生率は、牛車腎気丸群で0%、対照群で12%、20コース後、牛車腎気丸群で33%、対照群で75%だった。牛車腎気丸群のグレード2および3の末梢神経障害の割合は、対照群のそれよりも低かった。 末梢神経障害と腫瘍反応への影響を除いて、2群間で有害作用に違いはなかった。

【結論】牛車腎気丸は、FOLFOXレジメンで治療された切除不能または再発の結腸直腸がん患者の神経障害の予防に有用である。

Impact Factor: 2.503 PMID: 21258836 臨床試験登録番号: UMIN000002494