Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

大建中湯は上腸間膜動脈の血流を増加する

 

doi.org

大建中湯は腹部の冷えに使用され、一方、黄連解毒湯は内部臓器の炎症や潰瘍性病変に使用される。しかしながらこれらの漢方薬の心拍出量や腸管血流に対する効果は検討されていない。この研究者盲検無作為交差試験は、大建中湯と黄連解毒湯の心拍出量および上腸間膜動脈の血流量に対する影響を明らかにすることを目的として実施した。14名の健常男性(35±7歳)を対象に無作為に2群(A群、B群)に分けた。最初に全ての対象者に50mL の水を服用させた。7日後に、A群には大建中湯5.0g、さらに 7日後に黄連解毒湯2.5gを投与した。これらの薬物をB群には反対にして投与した。心拍出量および上腸間膜動脈血流は、水および薬物投与90分後の安静時に測定した。大建中湯投与後、水単独および黄連解毒湯投与に比較して上腸間膜動脈血流の有意な増加が認められた。上腸間膜動脈血流の有意な増加は、安静時(投与前)と比較して大建中湯投与後5~90分後に認められた。しかしながら、それぞれの薬物投与後の心拍出量の有意な変化は認められなかった。この研究結果は、大建中湯は心拍出量の増加無しに上腸間膜動脈血流を増加させる事を示す。

Impact Factor: 1.584 PMID: 19966532 臨床試験登録番号: UMIN000001760