Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

慢性硬膜下血腫の穿頭手術後の再手術率に対する五苓散の効果:全国入院患者データベースの分析

 

doi.org

五苓散は、日本で慢性硬膜下血腫の治療に使われている漢方薬である。基礎実験では、五苓散に利水作用があることが示されているが、慢性硬膜下血腫における五苓散の有効性の臨床エビデンスは不足している。全国日本入院患者データベースを用いて、五苓散の使用と慢性硬膜下血腫の穿頭手術後の再手術率の関係を調べた。我々は3,889名の五苓散服用者と32,131名の非服用者を含む、36,020名の患者を特定した。五苓散を服用した時の傾向スコア(プロペンシティスコア)を、病院の特徴と患者背景(年齢、性別、BMI日常生活動作、意識レベル、依存疾患、抗血栓剤の使用、マンニトール輸液、コルチコステロイド輸液) に基づいて計算した。1対1の傾向スコアのマッチングで、3,879組の五苓散服用者と非服用者のマッチングを作成した。傾向スコアマッチング解析から、五苓散服用者は、非服用者と比べて、有意に再手術率が低いことが(4.8%と6.2%)明らかになった。(リスク差:-1.4%、95%信頼区間:-2.4% から -0.38%)再手術が必要な患者を1人減らすために、(理論的に)72人の患者に五苓散の治療を必要とするという結果であった(95% 信頼区間 41–265)。操作変数解析は、傾向マッチング解析に近い結果を示した。これらの結果は、五苓散の使用が、慢性硬膜下血腫の穿頭手術後の再手術の必要を減少させることを示唆している。

Impact Factor: 2.064 PMID: 26495025 PMCID: PMC4606099