Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

術後慢性硬膜下血腫の再発防止における柴苓湯の役割

 

doi.org

慢性硬膜下血腫(CSDH)に対する柴苓湯の効果を評価することを目的とした。第二の目的は、慢性硬膜下血腫外膜のAQP4発現と、柴苓湯の効果の関連性を確認することであった。対照群は58例で、柴苓湯投与群は49例であった。患者全員に手術が行われた。柴苓湯投与群には、術後に柴苓湯が投与された。柴苓湯投与群の20例の慢性硬膜下血腫外膜には、AQP4が免疫染色された。柴苓湯投与群に慢性硬膜下血腫の再発はなかったが、対照群では6例が再発した(p=0.03)。術後の血腫消失までの期間は、柴苓湯投与群で対照群より有意に短かった(p=0.0047)。また、全ての慢性硬膜下血腫外膜は、AQP4が免疫陽性であり、炎症細胞浸潤は、AQP4の陽性が強い組織で特に著しかった。柴苓湯は、慢性硬膜下血腫が関係する術後血腫の消失を促進し、再発を予防した。さらにAQP4は、慢性硬膜下血腫外膜で発現し、柴苓湯はAQP4作用を阻害することで、慢性硬膜下血腫に効果があるかもしれないことを示唆している。