Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

環境チャレンジチャンバーを用いた季節性アレルギー性鼻炎に対する小青竜湯の評価

doi.org

【背景】漢方医学を含む補完代替医療は、さまざまなアレルギー性疾患に使用されてきたが、根拠は限られている。代表的な漢方薬の1つである小青竜湯は、アレルギー性鼻炎(AR)の治療によく使用される。ただし、季節性ARに対するその有効性は完全には確立されていない。環境チャレンジチャンバー(ECC)を使用して、スギ花粉によって誘発されるARに対する小青竜湯の治療効果を評価した。

【方法】小青竜湯を用いたプラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験を、ECCを使用して実施した。小青竜湯またはプラセボは、暴露試験の2週間前から経口投与した。花粉曝露試験を3時間実施し、花粉濃度を8000花粉/m3に設定した。この研究の主要評価項目は、花粉曝露中の総鼻症状スコア(TNSS)とした。日本東洋医学会の専門医として認定された医師が、各参加者の「証」、個々の患者の自覚症状やその他の個人的な所見から得られた兆候の包括的な表現を確認した。最初の花粉曝露の直前に収集された血液サンプルは、スギ抗原で刺激され、免疫学的研究に使用した。

【結果】46例の結果が分析され、重大な副作用は検出されなかった。小青竜湯群とプラセボ群の間で、ECCにおける3時間の花粉曝露中のTNSSに有意差はなかった。しかし、ECCを去った後、小青竜湯群ではいくつかの症状が改善した。「水滞」とTNSSの間に有意な相関関係はなかった。免疫学的研究において、小青竜湯はTh2型サイトカインの産生とmRNAの発現を阻害しなかった。

【結論】花粉曝露の2週間前からの小青竜湯の経口投与は、ECCでスギ花粉によって誘発されたARの即時症状を予防または抑制しなかった。漢方医学における小青竜湯特有の「証」を再評価するには、さらなる研究が必要である。

PMID: 35399817  PMCID: PMC8938619

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