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漢方薬の代替医療からの脱出

経腸栄養不耐症の人工呼吸器を装着した患者に対する大建中湯の効果:全国の管理入院患者データベースを使用した傾向スコアマッチング分析

DOI: 10.1002/jpen.2076

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

【背景】日本では経腸栄養不耐症の重症患者の胃腸運動を改善するために、大建中湯が使用されている。本研究は、経腸栄養不耐症の重症患者に対する大建中湯の効果を調査することを目的とした。

【方法】2010年7月から2018年3月までの日本版診断分類入院患者データベースを使用して、人工呼吸中に腸内栄養不耐性を発症した集中治療室の人工呼吸器を装着した患者を特定した。経腸栄養不耐性は、人工呼吸中のメトクロプラミドの静脈内投与と定義した。経腸栄養不耐症の発症から2日以内に大建中湯を開始した患者を大建中湯群と定義し、残りの患者を対照群と定義した。傾向スコアマッチング分析を実行して、2群間の転帰を比較した。

【結果】合計61,454例が含まれた。このうち、8,842例(14%)が大建中湯群だった。1対1の傾向スコアマッチングにより、8,701の一致するペアが作成された。傾向スコアマッチング後、経腸栄養不耐性の発症から28日以内に経腸栄養を受けた合計日数は、大建中湯群の方が対照群よりも有意に長かった(リスク差、0.9日;95%信頼区間、0.5〜1.3日) 。28日間の院内死亡率、院内肺炎、人工呼吸器のない日数、ICU滞在期間、生存期間、および有害な合併症に有意差はなかった。

【結論】この全国的な観察研究は、大建中湯の使用が経腸栄養不耐性の人工呼吸器を装着した患者の経腸栄養を受ける総日数を増加させる可能性があることを示唆した。

Impact Factor: 2.853