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漢方薬の代替医療からの脱出

大建中湯の周術期投与による膵頭十二指腸切除術後患者の麻痺性イレウス減少効果

 

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【目的】膵頭十二指腸切除術(PD)後患者に対する大建中湯の周術期投与により麻痺性イレウスが減少するかどうかに関しては報告がなかった

【方法】10年8月から2011年8月の間に和歌山医科大学病院においてPD手術施行予定の連続した45例を本試験対象とし、最初の群(n=15)を対照群、次の群(n=30)を大建中湯投与群とした。本臨床試験はUMIN-CTR ID# 000005056として登録されている。

【結果】術後麻痺性イレウスの発症は対照群でより高率であった(対照群 73.3%、大建中湯投与群 20.0%:p=0.001)。初回排ガスに関しては、大建中湯群の方が対照群より有意に早かった(p=0.014)。ドレナージ液及び血清中の複数のサイトカイン濃度を比較したところ、大建中湯群の方が術後Day1のドレナージ液中のIL-9とIL-10が有意に高かった。大建中湯術前投与による合併症の発生はなく、術後におけるCTCAE4.0基準でGrade 2 以上の下痢の発症については両群間に有意な差は認められなかった。

【結論】大建中湯のPD周術期投与は可能であり、術後麻痺性イレウスを減少させた。今後無作為比較検討試験の実施が必要である。

臨床試験登録番号: UMIN000005056