Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

六君子湯のフルボキサミン誘発性消化器症状軽減作用

 

doi.org

【目的】悪心や嘔吐などの上部消化管(GI)症状は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI)に関連して起こる一般的な副作用であり、うつ病患者への薬剤投与中止をもたらす可能性がある。六君子湯は、機能性ディスペプシア患者の上部消化器症状およびうつ症状改善が報告されている。本研究は、六君子湯フルボキサミン(FLV)治療中のうつ病患者に対する六君子湯のGI症状減少並びに抗うつ効果増強作用を無作為化対照試験で検討した。

【方法】うつ病患者50例(19-78歳、平均年齢40.2歳)をFLV群(n=25)またはFLVと六君子湯併用群(FLV+六君子湯)(n=25)に割り当て、それぞれ薬剤を8週間投与した。2群間の以下のパラメーターを比較した:有害事象を訴えた患者数およびその症状;治療開始前および治療2週後に消化管症状評価尺度(GSRS)日本語版で評価した消化管症状のQOLスコア;治療開始前、治療2,4および8週後の自己評価うつ病尺度(SDS)で評価した抑うつ症状。

【結果】FLV+六君子湯群(n=6)で有害事象を訴えた患者数は、FLV群(n=13)よりも有意に低かった(P<0.05)。悪心を訴えた患者数もFLV+六君子湯群(n=3)はFLV群(n=9)より低かった(P<0.05)。治療2週間後のGSRSスコアはFLV+六君子湯群で改善が見られたが、FLV群では改善しなかった。SDSスコアに対する両群差は見られなかった。

【結論】本研究は六君子湯がFLVによる副作用の内、嘔気を減少させ、かつFLVの抗うつ効果に影響を与えずに消化管症状に関連するQOLを改善することを示唆している。

Impact Factor: 1.000 PMID: 18001480 PMCID: PMC2204024