プレドニゾロンの薬物動態に対する類似の生薬を含む漢方薬の異なる効果
DOI: 10.1111/j.2042-7158.1995.tb05861.x
小柴胡湯、柴朴湯、柴苓湯の3つの主要な漢方薬は、強力な11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤であるグリチルリチン含有生薬で構成されている。これらの製剤の併用投与におけるプレドニゾロンの薬物動態を明らかにするために、健常者に対して交差非盲検試験を実施した。被験者全員にプレドニゾロン10mgを単回投与後、いずれかの漢方薬を経口投与した。2週間のウォッシュアウト期間後に、3つの内1つの漢方薬7.5gまたは9.0g/日を1日3回投与した。試験開始3日目にプレドニゾロン10mgといずれかの漢方薬を併用し経口投与した。治療前後のプレドニゾロンの血中濃度曲線下面積(AUC)は小柴胡湯群で0.94から0.78mg h L-1(P<0.01)と低下し、柴朴湯群では0.92から1.06mg h L-1(P<0.01)と増加し、柴苓湯群では変化は見られなかった。11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ活性を反映するプレドニゾロンとプレドニゾロンAUC比は小柴胡湯群で増加し(P<0.01)、柴朴湯群で減少し(P<0.01)、柴苓湯群では変化しなかった。同様の結果はコルチゾールの内因性コルチゾン比でも確認された。3つの漢方薬全てに同量のグリチルリチン含有量があることから、3群間の11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの作用が異なる点は想定外であった。これらの結果から、本研究で用いた漢方薬には未知の代謝酵素修正因子、促進剤あるいは阻害剤が関与している可能性がある。
Impact Factor: 2.309