Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

イリノテカン忍容性に対する半夏瀉心湯の有効性:傾向スコアと操作変数解析

 

dx.doi.org

イリノテカン塩酸塩水和物(CPT-11)は、様々な悪性腫瘍の治療に広く使用されている。半夏瀉心湯は、CPT-11に伴う下痢の予防と管理に効果があると報告されている。しかしCPT-11により化学療法の忍容性に対する半夏瀉心湯の効果は、完全には検討されていない。本研究では診断群分類(DPC)データベースを用いて、初回入院時に半夏瀉心湯の有無にかかわらずCPT-11を受けた患者を後ろ向きに特定した。半夏瀉心湯投与群(N=7,092)は、非投与群(N=82,019)と比較しCPT-11をより頻繁かつ大量に投与された。傾向スコアを用いた逆重み付け法によると、CPT-11投与の発生率比は、投与回数で1.34(95%信頼区間[CI]、1.31-1.38;p<0.001)、全投与量では1.16(95%CI、1.14-1.19;p<0.001)であった。操作変数解析も同様の傾向を示した。半夏瀉心湯投与患者の在院死亡率は、非投与患者よりも有意に低かった。半夏瀉心湯投与患者の在院死亡率は傾向スコア逆重み付けで0.81(95%CI、0.71-0.93;p=0.002)、操作変数は0.42(95%CI、0.22-0.81;p=0.009)であった。本研究によると、CPT-11に対する半夏瀉心湯の忍容性改善が示唆される。
Impact Factor: 5.583 PMID: 30154384 PMCID: PMC6162861