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血管性認知症の行動心理学的症状に対する抑肝散の効果:非盲検試験

DOI: 10.1016/j.phymed.2012.02.008

www.sciencedirect.com

今までの臨床研究は、抑肝散が認知症の行動心理学的症状(BPSD)に有効であることを、前回の臨床試験で示唆している。今回の試験は、血管性認知症を伴う患者の、BPSDにおける抑肝散の効果を明らかにするため実施された。NINDS-AIRENの診断基準により、血管性認知症(VaD)と診断された13名の日本人患者(男性9名、女性4名)に対し、抑肝散(7.5g/日)を4週間投与する非盲検試験を実施した。BPSDはNPI、認識機能はMMSE(ミニメンタルステート検査)、日常生活動作はBI(バーセルインデックス)とDAD(認知症患者機能障害評価尺度)で、錐体外路兆候はUPDRS(パーキンソン病統一スケール)で評価した。平均NPIは、投与前と投与後のそれぞれ 33.0±17.3 と 23.6±13.9 であった。NPIは投与後で有意に改善した(p<0.05)。NPIのサブカテゴリーにおいては、興奮と脱抑制で投与後に有意な改善が認められた。MMSE、BI、DAD、UPDRSは投与前後で有意な変化がな認められなかった。投与期間を通じて、有害作用は認められなかった。今回の結果により、抑肝散は脳血管性認知症の患者において、BPSDの治療に有効であることが示唆された。

Impact Factor: 3.610 PMID: 22421528