Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

抑肝散投与によるレビー小体病を伴う認知症患者の妄想と幻覚の改善

DOI: 10.1111/j.1479-8301.2012.00413.x

www.ncbi.nlm.nih.gov

レビー小体病を伴う認知症患者のBPSDに対する、抑肝散の有効性と安全性を多施設非盲検試験で研究した。BPSDと思われるレビー小体病を伴う認知症患者63例(男性30例、女性33例:平均年齢78.2±5.8歳)を登録し、抑肝散を4週間投与した。NPIスコア(平均12.5ポイント減少;p<0.001)とZarit介護負担尺度日本語版テスト(平均3.6ポイント減少;p=0.024)に有意な改善が認められた。投与2週間の時点での評価に同意した患者においては、NPIスコア(23名;平均減少14.4;p<0.001)、NPIスコアのサブスケールである妄想と幻覚、Zarit 介護負担尺度日本語版(22名;平均減少8.2;p<0.01)、アルツハイマー病行動病理学尺度の不眠症サブスケールおいて、時間依存性で有意な改善が認められた。ミニメンタルステート検査と認知症のための障害評価表(DAD)には有意な変化はなかった。有害事象は11例(18%)において認められた。3例(5%)は、痙攣とBPSDの悪化、浮腫、悪心の有害作用のため、抑肝散の投与を中止した。試験終了時、4例(6%)に低カリウム血症(<3.5mEq/L)が認められた。錐体外路症状の悪化は認められなかった。抑肝散はレビー小体病を伴う認知症患者のBPSDと介護者の負担スコアを、認知機能の悪化なく改善した。抑肝散はBPSDの妄想と幻覚の治療に有用である。

Impact Factor: 1.209