Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

急性心血管病患者における漢方薬の有効性-12年間の全国コホート分析

doi.org

【背景】漢方薬は様々な症状・疾患に対して保険適応が認められている。しかし、急性心血管病患者における漢方薬の全国的な使用状況は不明である。

【方法と結果】日本のDiagnosis Procedure Combinationデータベースを用いて、2010~2021年度に1,798病院で急性心血管病(急性心筋梗塞心不全肺塞栓症、大動脈解離)で入院した患者2,547,559例をレトロスペクティブに同定した。漢方薬が使用された患者は227,008人(8.9%)で、年齢、性別、重症度、主診断に関係なく、2010年(4.3%)から2021年(12.4%)にかけて3倍に増加した。使用された薬の上位5位は、大建中湯(29.4%)、抑肝散(26.1%)、芍薬甘草湯(15.8%)、六君子湯(7.3%)、五苓散(5.5%)であった。2010年から2021年にかけて、入院中の漢方薬の使用開始時期が早まり(中央値7日目から3日目へ)、入院日数に占める漢方薬の使用割合が増加した(中央値16.7%対21.4%)。しかし、退院後も漢方薬を継続する患者の割合は、2010年の57.9%から2021年には39.4%に減少しており、一時的な使用であることが示された。漢方薬の使用頻度は病院によって異なり、漢方薬を処方された患者の割合(中央値)は2010年の7.7%から2021年には11.5%に増加した。

【結論】この全国的な研究は、急性心血管系疾患の管理における漢方薬の使用が増加していることを示しており、その有効性に関する更なる薬剤疫学的研究を正当化するものである。

PMID: 38583961

Impact Factor: 3.1