Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

腹腔鏡手術を受けた大腸がん患者の腸閉塞予防における大建中湯の有効性: 日本の診療報酬請求データベースを用いた観察研究

doi.org

【目的】大建中湯は、腹部手術後の腸閉塞を予防する明確な根拠はないが、日本で広く使用されている漢方薬である。我々は,大腸癌(CRC)の腹腔鏡手術における大建中湯の有効性を評価した。

【方法】2012年1月~2019年12月にCRCと診断され、腹腔鏡手術で治療された診療報酬請求データベースからの患者を対象した。大建中湯群と対照群を比較し、1年間の早期腸閉塞(EBO)事象を評価した。大建中湯群には、術後日(POD)0または1に大建中湯を処方された患者を含めた。EBOイベントは、POD1から364までの経鼻胃管、経鼻イレウス管、内視鏡的バルーン拡張術の使用、または腸閉塞による再手術の必要性と定義した。

【結果】合計で46,458例が適格基準を満たし、2,407例と44,051例がそれぞれ大建中湯群と対照群に含まれた。患者さんの特徴のいくつかは、群間で有意に異なっていた。EBO事象の頻度は、大建中湯群では5.7%(95%信頼区間:4.8-6.7)、対照群では4.6%(4.4-4.8)であった。最も頻度の高かったイベントは、大建中湯群では経鼻胃管挿入(3.1%、2.9%)、対照群では経鼻イレウス管挿入(1.4%、0.8%)であった。入院期間は、大建中湯群が対照群より有意に短く、この傾向は感度分析でも確認された。

【結論】大建中湯はEBOに対する有効性を示さなかった。しかし、入院期間の短縮には有効である可能性がある。さらなる研究が必要である。

Impact Factor: 3.359 PMID: 36697914