Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

自己血貯血の準備をしている妊婦における人参養栄湯の造血効果

doi.org

【背景と目的】妊娠中の女性に対する人参養栄湯の造血効果を示す報告はない。この研究の目的は、帝王切開のために自己血貯血で管理された前置胎盤を合併した妊婦のヘモグロビンとヘマトクリットのレベル、白血球と血小板数に対する人参養栄湯の効果を調査することであった。

【材料と方法】前置胎盤を合併し、帝王切開を受けた患者の2群を研究した。A群は、血液保存の初日から帝王切開の前日までの期間、経口鉄剤(100mg/日)で治療された女性で構成され、B群は、経口鉄剤に加えて、1日9.0gの用量で人参養栄湯で治療された女性で構成されていた。人参養栄湯の効果の評価のため、患者の赤血球(RBC);Hb;ヘマトクリット(Ht);白血球(WBC);および血小板数(PLT)値を、貯血の7日後と術後(POD)1 日目および5日目に測定した。

【結果】この研究には、A群に38例、B群に27例の65例が含まれた。最初の貯血時に、人参養栄湯治療を受けた患者では、最初のHb値と比較して、0.2 g/dL のHb値の低下が観察されたが、人参養栄湯非投与患者では、Hb値の0.6g/dLの低下が観察された。 一方、2回目以降の貯血時には、両群のHb値の低下に有意差は見られなかった。

【結論】この研究は、人参養栄湯が妊娠中の女性の貧血を改善する効果を示した最初の報告であり、おそらく骨髄造血に対する増強効果によるものと思われる。したがって、鉄剤と人参養栄湯の併用投与は、前置胎盤などの合併症によるPPHのリスクが高い妊婦に対する戦略として有効である。

PMID: 36013550 PMCID: PMC9412375 Impact Factor: 2.948