Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

日本の医薬品副作用データベース(JADER)を用いた防風通聖散による薬剤性肝障害の分析

doi.org

防風通聖散は日本の伝統的な漢方薬である。近年、生活習慣病の治療に有効であることが報告されており、その使用が増えている。しかし、防風通聖散の投与による副作用は一般的であり、薬物誘発性肝障害が最も頻繁に報告される合併症である。本研究では、防風通聖散投与後の肝障害の発生に関する副作用報告データベース(JADER)を分析した。結果は、防風通聖散が有意な報告オッズ比(ROR)シグナルを示し[粗ROR 14、95%信頼区間(CI)12-17;p<0.001]、肝障害を示唆している。さらに、JADERに記録されている防風通聖散投与後の有害事象の発生率は、30〜59歳の女性の方が高かった。この薬剤を服用している患者のロジスティック回帰分析の結果は、前述の年齢範囲の女性が薬物誘発性肝障害を発症する確率が高いことを示した(調整済みROR 5.5、95%CI 2.8-11;p<0.001)。そのため、防風通聖散生活習慣病の治療薬として有用だが、使い過ぎを控える必要があるかもしれず、重篤な副作用を避けるために随時使用の際には注意が必要である。

PMID: 35370270 Impact Factor: 2.233