Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

日本の非高齢者コホートにおける季節性インフルエンザへの麻黄湯使用と入院との関連

doi.org

【目的】麻黄湯は、インフルエンザの治療に使用される漢方薬である。ただし、麻黄湯の臨床的根拠は、症状の緩和におけるその効果の小規模な研究に限定されている。本研究では、ノイラミニダーゼ阻害剤への麻黄湯の併用が、インフルエンザ後の入院の減少と関連しているかどうかを評価した。

【方法】JMDC Claims Databaseを使用して、2013年9月から2018年8月までの抗原検査でインフルエンザと診断された60歳未満の外来患者を特定した。ノイラミニダーゼ阻害剤に加えて麻黄湯を投与された患者およびノイラミニダーゼ阻害剤のみを投与された患者間で1対5の傾向スコアマッチングを実施した。インフルエンザ診断から7日以内の入院は、Mantel-Haenszel検定を使用して一致した群で比較された。

【結果】5年間の研究期間中にデータベースから179万例のインフルエンザを特定した。麻黄湯は、ノイラミニダーゼ阻害剤を投与された167万例の3.9%に処方された。64,613の傾向スコアが一致した患者群では、7日間の入院率は麻黄湯ありの患者で0.116%(n=75)、麻黄湯なしの患者で0.122%(n=394)だった。これらの治療群間の差は有意ではなかった(共通オッズ比、0.95;95%信頼区間、0.74から1.22;p=0.695)。

【結論】ノイラミニダーゼ阻害剤への麻黄湯の追加は、非高齢インフルエンザ患者の入院の減少とは関連していなかった。麻黄湯の適応と有効性を明らかにするには、さらなる研究が必要である。

PMID: 34719625