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漢方薬の代替医療からの脱出

抑肝散製剤に関連した低カリウム血症に対する急性腎障害の影響:後ろ向き観察研究

doi.org

急性腎障害と低カリウム血症の時間経過は未解明のままである。抑肝散製剤を使用した患者において、腎機能の変化が低カリウム血症および急性腎障害の臨床的予測因子に影響を与えるかどうかを調査した。抑肝散製剤を始めた成人患者からの遡及的観察コホートデータの二次分析を行った。この調査は、2015年6月から2019年5月まで、東京女子医科大学東医療センターで実施された。急性腎障害の影響(ベースライン血清クレアチニンレベルから>1.5倍の増加)または低カリウム血症での腎機能回復(血清カリウムレベル<3.0 mEq/L)を調査した。急性腎障害の臨床的予測因子は、多変量コックス比例ハザード分析を使用して決定された。258例のうち、12例が両方の転帰を示し、1例を除くすべての患者が急性腎障害と低カリウム血症の順に経験した。1例を除いて、低カリウム血症は急性腎障害後の11/34(32%)の患者と、急性腎障害のない27/223(12%)の患者で発生した(p=0.005)。低カリウム血症は、回復を伴う急性腎障害の9/25(36%)、回復を伴わない急性腎障害の2/9(22%)、および急性腎障害を伴わない27/223(12%)で発生した(p=0.014)。急性腎障害のある患者は、急性腎障害のない患者と比較して、低カリウム血症の発症が遅いことを示した(p=0.001)。258例において、多変量コックス比例ハザード分析では、高い収縮期血圧と平均動脈圧が急性腎障害のリスクを増加させることを示した。臨床医は、抑肝散製剤治療中に急性腎障害の後に低カリウム血症が発症したことを覚えておく必要がある。

Impact Factor: 2.233 PMID: 33390538