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漢方薬の代替医療からの脱出

高侵襲手術を受けるがん患者の術前不安の治療と術後せん妄の予防のための抑肝散 J-SUPPORT 1605(ProD研究):無作為化二重盲検プラセボ対照試験

doi.org

【状況】癌患者の術前不安および術後せん妄に対する標準的な予防または治療法は確立されていない。

【目的】がん患者の周術期精神症状に対する抑肝散の治療効果を明らかにし、その安全性の側面を確認すること。

【方法】これは、日本の東京の単一施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。腫瘍切除が予定されているおよそ195例の癌患者が、経口投与された治験薬の1包を服用した。 主要評価項目は、病院不安抑うつ尺度で評価された術前不安の変化と、精神疾患の診断・統計マニュアル第5版で評価された不安と術後せん妄の発生率とした。中間解析は、登録された患者の目標数の3分の1(n=74)で実行された。

【結果】この試験は中間解析の結果に基づいて中止され、研究実施要綱に基く治療はすでに登録されている患者で継続しなかったため、結論は160例の参加者の最大の解析対象集団に基づいていた。病院不安抑うつ尺度-不安スコアの平均(介入群[SD]0.4[3.0]対プラセボ群0.5[3.0];P=0.796)または術後せん妄の発生率(32%対30%;P=0.798)の変化に群間で有意差はなかった。どちらの群にも重篤な有害事象はなかった。

【結論】高侵襲手術を受けているがん患者において、抑肝散は術前不安の治療または術後せん妄の予防に有意な有効性を示さなかった。抑肝散はすでに日本で日常的に使用されているが、今後の使用には注意が必要である。

Impact Factor: 3.077 PMID: 32800969