Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

漢方と放射線療法の併用は子宮頸がん患者の生存を延長する

ci.nii.ac.jp

漢方治療の延命効果について、子宮頸癌症例を基に後ろ向きに検討した。1976~1998年の23年間に徳島大学医学部放射線科にて放射線治療に漢方を併用した174例の子宮頸癌初発症例のうち、5年以上経過観察が出来た92例(IIb:43例、IIIb:49例)を対象として予後につき検討した。ヒストリカルコントロールとして、同時期の漢方非併用治療120例(IIb:63例、IIIb:57例)をあてた。放射線治療は低線量率小線源による腔内照射と6MVX線による外部照射を用いた標準的放射線治療を施行した。一部の症例には化学療法や免疫療法の併用も施行した。漢方方剤は、ツムラ漢方製剤エキス顆粒として1日7.5~9.0g、食前30分に微温湯で服用させた。殆どの症例は放射線治療中より開始して、数年~20年間継続投与されている。使用方剤は、十全大補湯、人参養栄養、補中益気湯等の補剤が中心である。5年、10年生存率は、漢方併用群(92例)と非併用群(120例)はそれぞれ75.6%、65.9%と65.6%、49.1%であった(P=0.0102982)。このうちIIIb期では、5年、10年生存率は,漢方併用群(49例)と非併用群(57例)はそれぞれ68.4%、59.7%と48.4%、38.3%であった(P=0.00803624)。更に、治療法による予後因子を多変量解析で検討すると、漢方治療が因子としてあがった(P=0.0007952)。今回の検討では、子宮頭癌の予後を大きく延ばす結果を得た。今後は,、更に症例数を蓄積し、何が延命に寄与しているかを究明していきたい。