Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

フレイルを伴う慢性閉塞性肺疾患患者に対する人参養栄湯の有用性

DOI: 10.1089/acm.2020.0083

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】フレイルを伴う慢性閉塞性肺疾患COPD)の患者は、死亡率、気分障害、生活の質(QOL)が低下するリスクが高くなる。フレイルなCOPD患者を対象とした介入研究はほとんどなく、効果的な治療法が必要である。人参養栄湯は、疲労感、心身の脆弱性、呼吸器症状の改善が報告されている漢方薬である。われわれは、フレイルまたはプレフレイルのCOPD患者における人参養栄湯の有効性を検討した。

【設計】前向き、単一施設、非盲検、無作為化比較試験

【場所】昭和大学病院、東京、日本

【被験者】平均年齢76±6歳の62例(男性53例と女性9例)が解析に含まれた。

【介入】患者は2群に分けられた:人参養栄湯群(n=31)と対照(標準治療)群(n=31)。

【結果の測定】主要評価項目は、フレイルの変化を反映する24週目の基本チェックリスト(KCL)スコアの変化である。副次評価項目は、24週目の次の評価スコアの変化とした:食欲の変化を反映するSimplified Nutritional Appetite Questionnaire (SNAQ)スコア;COPD患者のQOLの変化を反映するCOPD評価テスト(CAT)スコア;不安の変化を反映する不安とうつ病スケール(HADS)-不安スコア;うつ病の変化を反映するHADS-うつ病スコア。

【結果】人参養栄湯群と対照群の間のKCLスコアの変化はわずかであり、有意な差はなかった(p=0.09)。ただし、SNAQ(p=0.03)、CAT(p=0.03)、HADS不安(p<0.01)、およびHADS抑うつ(p=0.02)のスコアの変化には、2群間で統計的に有意な差があった。

【結論】私たちの結果は、従来の治療にもかかわらずフレイルであるCOPD患者に、人参養栄湯がさまざまな効果をもたらす効果的で有望な薬剤であることを示唆している。

Impact Factor: 1.868 PMID: 32551796