Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

高齢者の免疫に対する補中益気湯の効果

DOI: 10.1016/j.intimp.2003.12.004www.sciencedirect.com

一般に、高齢者は年齢に関連した免疫応答の大幅な低下を示し、感染症に対する脆弱性の増加または悪性腫瘍の発生の増加につながる。本研究では、高齢者の免疫能に対する補中益気湯の効果を検討した。全身倦怠感または脱力感を訴える高齢患者群に毎日7.5g の補中益気湯を少なくとも120日間(4か月)経口投与し、対照群として主に食欲不振を訴える高齢患者群には7.5g の安中散を同期間投与した。免疫学的観点から、観察期間中、補中益気湯および安中散群の両方の循環白血球の総数は変化せず、CD3+T細胞とCD20+B細胞の比率、およびCD4+TとCD8+T細胞の比率も同様だった。さらに、T細胞の活性化状態を表すCD25抗原の発現に違いは観察されなかった。しかしながら、補中益気湯投与後30日目と120日目に確認されたように、K562標的細胞に対するナチュラルキラー(NK)活性は、補中益気湯群の0日目の結果と比較して大幅に強化され、安中散群の0日、30日、120日も同様だった。さらに、補中益気湯群の30日目と120日目には、NK活性に関連すると考えられている血清IFN-γレベルに有意な増加があったが、研究期間中、安中散群ではそのような有意な変化は認められなかった。これらの結果から、高齢者への補中益気湯の投与は、高齢者の免疫能力を少なくともある程度改善するのに役立つと結論付けることができる。

CiteScore: 3.32 Impact Factor: 3.361 PMID: 14996423