Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

シスプラチンを基本とする化学療法を受けている肺がん患者の食欲不振および血漿アシル化グレリンレベルに対する漢方薬である六君子湯の効果に関する前向き無作為化交差予備研究

doi.org

【目的】遅発期の細胞毒性化学療法によって誘発される食欲不振は、非常に頻繁な有害事象である。肺癌患者の化学療法誘発性食欲不振(CIA)に対する六君子湯の効果を調べることを目的とした。

【方法】この前向き無作為化交差予備試験には、シスプラチンを基本とする化学療法を受ける予定の40例の肺癌患者が含まれ、14日間六君子湯 7.5 g /日の投与群(A群、N=20)と非投与群(B群、N=20)に無作為化され、その後、治療が切り替えられた。すべての患者は、割り当て群に関係なく、デキサメタゾン、パロノセトロン塩酸塩およびアプレピタントを投与された。必要に応じてレスキュー薬が許可された。主要および副次評価項目は、それぞれカロリー摂取量および血漿アシル化グレリン(AG)レベルの変化とした。3〜5日目の1日の平均カロリー摂取量を各コースの1日目のそれと比較した。

【結果】主要評価項目および重要な副次評価項目は、研究を完了する31例(プロトコル集団ごと)で分析された。カロリー摂取量の削減率は、六君子湯の方が対照群よりも低かった(18%対25%、P=0.025)。血漿AGレベルは、六君子湯群(12.3対7.5 fmol/mL、P<0.001)および対照群(10.8対8.6 fmol/mL、P<0.001)で1日目と3日目の間で著しく低下した。ただし、六君子湯群では5日目までに明らかに8.5 fmol/mL(P=0.025)に増加したが、対照群では増加しなかった(7.7 fmol/mL、P=0.28)。

【結論】六君子湯は、肺癌患者におけるCDDPを基本とする化学療法の遅延期にCIAを緩和し、血漿AGレベルを改善する可能性がある。

Impact Factor: 3.502 PMID: 31428894 臨床試験登録番号: UMIN000010748