Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

胃癌および大腸癌における化学療法誘発性口腔粘膜炎の治療における半夏瀉心湯の臨床的影響:2つの第II相無作為化臨床試験(HANGESHA-GおよびHANGESHA-C)のプール解析

dx.doi.org

【目的】本プールド解析では、胃癌および大腸癌における化学療法誘発口腔粘膜炎(COM)の予防および/または治療における半夏瀉心湯の有効性を、2つの前向き多施設無作為化 プラセボ対照第II相試験で検討した。

【方法】HANGESHA-GおよびHANGESHA-Cは、化学療法コース中に中等度から重度のCOM(グレード1以上)を発症した胃癌または大腸がん患者に、半夏瀉心湯またはプラセボのいずれかをランダムに割り付けた二重盲検試験である。化学療法レジメンに基づき、次の化学療法コース開始からプラセボまたは半夏瀉心湯を4-6週間に渡り患者に投与した。主要評価項目は、プロトコル治療コースにおけるグレード2以上のCOM発現率であり、副次評価項目はCOM消失までの時間および有害事象の発生率とした。

【結果】プールド解析対象者には患者181例が含まれた。半夏瀉心湯群のグレード2以上のCOM発現率は55.7%(49例)であったのに対し、プラセボ群では53.8%(50例)であった。両群間に有意差はなかった(p=0.796)。グレード2以上からグレード1未満へのCOM回復までにかかった平均時間は半夏瀉心湯群で8日、プラセボ群で15日であった(p=0.072)。ハザード比は1.54[1.02-2.31]であり、半夏瀉心湯群を支持していた。プラセボ群と比較し、半夏瀉心湯群はグレード2以上の重篤なCOM発現時間を減少させたことから、半夏瀉心湯はCOMの重症度の低下に有効であることが示唆される。

【結論】本プールド解析では、半夏瀉心湯プラセボと比較し、胃がんおよび大腸がん患者のCOMに対して治療効果を示した。半夏瀉心湯のCOM予防効果を明らかにするためには、より大きなサンプルサイズを有する第III相試験が求められる。

Impact Factor: 3.182 PMID: 29805697 PMCID: PMC5968759