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漢方薬の代替医療からの脱出

胃癌化学療法による口内炎に対する半夏瀉心湯の二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験

doi.org

【背景】半夏瀉心湯はプロスタグランジンE2の値を減少して、シクロオキシゲナーゼ活性に影響し、化学療法による口内炎を緩和する。我々は、半夏瀉心湯が胃癌患者の化学療法による口内炎を予防し、コントロールするかどうか調べるため、無作為化比較試験を行った。

【方法】化学療法のサイクルの間に、中等度から重症の口内炎(CTCAE v4.0でgrade 1以上)が発症した胃癌患者を、二重盲検試験半夏瀉心湯投与群、またはプラセボ投与群に無作為に割り付けた。患者は化学療法の投与計画に従い、最初から次のコースまでの2-6 週間、プラセボまたは半夏瀉心湯を服用した。主要評価項目は、本試験実施期間中のgrade 2以上の口内炎の発症率で、副次評価項目は口内炎がなくなるまでの時間と、有害事象の発現率であった。

【結果】盲検試験のキーオープンに引き続き、試験実施計画書に適合した対象集団(PPS)91名の症例(半夏瀉心湯:45名、プラセボ:46名)について解析を行った。化学療法によるgrade 2以上の口内炎の発症率は、半夏瀉心湯投与群で40.0%、プラセボ投与群で41.3 %であった(p=0.588)。化学療法によるgrade 2以上の口内炎の平均罹患期間は、半夏瀉心湯投与群で14日間、プラセボ投与群で16日間であった(p=0.894)。一方で、化学療法による全てのgradeの口内炎の平均罹患期間は、化学療法のサイクル中にgrade 1の症状が発症した患者において、半夏瀉心湯投与群は9日間、プラセボ投与群は17日間であった。【危険率 0.60、信頼区間 0.23-1.59、p=0.290】

【結論】半夏瀉心湯の投与は、胃癌の化学療法中に口内炎を発症した患者において、grade 2以上の患者の口内炎発症率を低下させなかったが、化学療法のサイクル中にgrade 1以上の口内炎を発症した患者においては、半夏瀉心湯が化学療法による口内炎のリスクを減少させる傾向がみられた。化学療法による口内炎に対する半夏瀉心湯の予防効果を明らかにするためには、さらに規模の大きい第III相試験が必要である。

Impact Factor: 2.769 PMID: 24652604 PMCID: PMC4000413