Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

重症患者の早期経腸栄養および血漿中グレリンに対する六君子湯の効果:予備的研究

doi.org

【目的】六君子湯は様々の胃腸症状を訴える患者に幅広く用いられる漢方薬である。近年日本において、幅広い疾患の患者に対する六君子湯の消化管運動促進作用が注目を集めている。六君子湯による消化管運動促進作用は、胃で最も豊富に分泌され胃運動促進作用を持つ活性型グレリンによるものと考えられている。本探索的研究の目的は重症患者の胃管による経腸栄養と血漿グレリン濃度に対する六君子湯の効果を検討することである。

【方法】本研究の対象は7日以上の胃管による経腸栄養が施行される予定の重症患者である。これらの患者は、前向きかつ無作為に2群に割り付けられ、六君子湯(2.5g)あるいはメトクロプラミド(10㎎)のいずれかを8時間ごとに投与された。全患者に標準的経腸栄養が施され、両群とも当病院の給食プロトコールに従い胃管による経腸栄養から開始した。

【結果】全患者が登録時には人口呼吸器下にあった。経腸栄養の目標栄養量に対する投与量の割合、及び胃排出量に関しては両群間に有意差はなかった。六君子湯群ではメトクロプラミド群に比べ、有意に早く目標経腸栄養量の50%に達したが、経腸栄養が成功した患者の割合については両群間に有意な差は認められなかった。六君子湯群の患者の血漿グレリン濃度はメトクロプラミド群の患者よりも有意に高かった。

【結論】重症患者に対し六君子湯を投与したことにより、メトクロプラミドを投与した場合に比べ、活性グレリン濃度を上昇させ消化管運動促進作用を示した。

CiteScore: 3.09 PMID: 25705411 PMCID: PMC4336131

臨床試験登録番号: UMIN00000356