Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

腰部脊柱管狭窄症患者の疼痛を伴う筋痙攣治療に対する芍薬甘草湯と最小有効量

http://www.med.kobe-u.ac.jp/journal/contents/61/E132.pdfwww.ncbi.nlm.nih.gov

芍薬甘草湯は筋肉の痙攣だけでなく、消化管の平滑筋や骨格筋における痙攣性の痛みに対しても有効であることが知られている漢方薬である。しかし芍薬甘草湯に含まれるグリチルリチンは、低カリウム血症、高血圧、浮腫などの副作用ももたらす。我々は腰部脊柱管狭窄症における疼痛を伴う筋痙攣に対する芍薬甘草湯の治療効果を分析し、その最小有効量を明らかにした。腰部脊柱管狭窄症で痛みを伴う筋痙攣患者58例が対象となった。芍薬甘草湯(n=16)の治療効果は、エペリゾン塩酸塩(n=14)と比較して評価した。その後、残りの28例において、芍薬甘草湯の最小有効量を調べた。芍薬甘草湯は16例のうち13例で、痛みを伴う筋痙攣の頻度を50%以下まで減少させた。しかしエペリゾン塩酸塩では、同じレベルまで減少させた患者は14例中4例であった。芍薬甘草湯の最大治療効果は、15例中11例の患者において、治療の開始から3日未満に発現した。痛みを伴う筋痙攣に対する最小有効量に関して、2.5gの芍薬甘草湯の頓服は(1日3回分の用量で投与した)7.5g/日の常用量に相当する治療効果があった。このデータは、芍薬甘草湯が腰部脊柱管狭窄症に伴う筋肉の痙攣の痛みに対して有効であることを示している。頓服の芍薬甘草湯2.5gの投与量は、7.5g/日の常用量に等しい治療効果があった。